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ストーリー概観
【SEVENTH −The Destination 1−】
〜
1st
ダルゼラ編 〜
■
この時代、なくなったもの
地球時代と比較して、ダルゼラ期にはなくなったものが2つある。
「煙草」 と 「眼鏡」
煙草は既に、地球暦末にその需要が皆無となり、
ダルゼラ移民物資にすら入れられていない。
視力の問題は“病気”とされ、
遠・近視、乱視、老眼は全て治療により回復されたため、
眼鏡・コンタクトレンズといったものは人々の生活から姿を消した。
唯一残ったのが、度の入っていないファッショングラスとしてのサングラス。
しかし、これも実際珍しい。有名人が顔を隠すために用いるという事例が
本編の時代でも見られたが、かえって目立つだけであった。
次々項(↓)とも関わるが、
重度の場合は、義眼・レンズ埋め込みなどの手術が施される。
基本的に、眼鏡をかけること自体、格好の良いものではないという
美意識の変化がダルゼラ期の人々には見られたということである。
眼を保護するためには、
(さとるたちの野球の試合に関する項で述べるかもしれないが)
キャッチャーマスクとして使用されるレーザーマスク(バイザー)や、
データがディスプレイ表示されるなどの機能も持つ
レーザーアイパッドの類が使用される
(必要な時だけカバー(レーザーによるバリアー)が展開され、
サングラスのような形状に見えるもの)。
▲ナオミ・セルラード
■
移民後の医学について ―― ヒトの生体改造問題
カラファン
:何故、人は、その星本来の姿を変え、
地球の自然体系を人工的に造り、
その地上の風景を再現することを
当然のようにするのか...
何故、人は、この身体のつくりを維持するために
重力の小さい環境下で筋力を鍛えたり、
内臓の働きを助ける治療を義務付けたり、
遺伝子データの保存を続けることを
やめないのか...
これは、3rd【ウェスタ編】における語りであるが、
人の歴史の向かう先は、ここにその答えを示していた。
新天地ダルゼラでの生活に、地球人の姿をいかに保ちつつ
適応できる身体(機能)を医学的にフォローするか・・・
ダルゼラ移民後の医学研究・医学的発展は、
ほとんど全てがそれに尽きる。
「なぜ、地球人の姿を残そうとするのか?」
リブ・イグレ
の話にも出るが、
遠い未来、カラファン・ブルーの言葉に現れ、
それはカッサンドラが宇宙の意思から授かる
言葉・・・予言として受け止める。
遥かなる未来、ルカ・オースティンの願いが、
私たち人類に届くことを・・・
* * *
ダルゼラという星は、既にテラフォーミングが完了した上で
地球人を迎えたように思われるが、一部の環境の違い(
*
)、
殊重力の問題については完全に解決したわけではなかった。
後に、人の住む都市は全て重力コントロールされ
(この技術開発に関わるのが
ライク
の父の世代、ロージェ家の人々)、
ほぼ地球と同じ環境が再現できるようになる。
*
星の持つ本来の姿を残すべきだという意見も尊重し、
特に前文明の遺跡周辺は意図的に手が加えられていない。
ダルゼラ期の医学とは、つまり地球人としてのヒトの姿の維持が目的である。
異星での生活に適応できずに衰弱する者、
そしてそれを救わんと試行錯誤される医療処置が原因で命を落とす者。。
ダルゼラ移民初期は、移民に備えて準備されていた地球での医療研究が
追いつかない現実に直面し、医学界に混乱を招いた。
種としてのヒトの保存・・・
地球人としてのヒトという生物の構造の維持・・・
両者の意味合いがずれてきた。
そのための医療行為に対する医者たちの考えも噛み合わなくなってきた。
例えば、1つ大きな問題として、子孫を残す方法について。
「これまでの自然分娩のままでは、健康体の出生率が低下の一途をたどるだろう」
→「だから、人はみな平等に人工授精・人工分娩にすべきだ」
↑
「しかし、遺伝子レベルで人の誕生を弄
(いじ)
るのは倫理的に許されない」
この時代においても、人工的なヒトの創造は禁止されていた。
ダルゼラは、原則として全星で一政府、一医学会でスタートしているため、
このヒトの医療行為の根本的に関わる議論は、(本編時点で)未だ結論を得ない。
そもそも反政府運動の根本には、
ダルゼラ政府やその管轄下の医学会に対する不信感があったのかもしれない。
また、これは人口問題にも関わってくる懸案であるわけだが、
地球暦末期には第3次世界大戦により激減している総人口は、
ダルゼラというやや小さな惑星であっても充分な生活空間を保てる出生率のまま、
ダルゼラ暦を終えることとなる。
結論から言えば、
ダルゼラ暦末期には遺伝子操作による環境への対応がほぼ柔軟に可能となり、
以降の移民時における身体的障害の発症率は限りなくゼロに近くなった。
(その一方で、地球人たる遺伝子情報のデータの保存が続けられる)
▲リック・アレン
■
生体改造の代償・・・
本編の時代、人々は自然分娩で生まれている。
寿命は60〜65歳となっていた。
ただし、これは地球暦末期、第3次世界大戦にて
寿命の長いとある先進国の人口が
無に等しくなったことによる
世界平均寿命の低下に始まっている数字である。
そして、現ダルゼラ人の50人に1人は
何らかの身体的障害を有する。
簡単に述べると、
他星の環境への強制適応手段としての医学には
限界があった、ということ。
地球と全く同じ環境構築は不可能で、
それに伴い試みたヒトという種の改造も完璧ではない、
というのがダルゼラ編の世界(時代)設定である。
ヒトの歴史が進むにつれ次第にその発生率は減少するが。。
その都度、各事例に対し、でき得る医療処置をもって
患者の命を救うために努め、研究し続けるのが医者である。
そして、障害の部分を医療処置により日常生活に
支障のない程度に、また外見上も問題なく回復させるのが、
この時代の医者の仕事であった。
■
2人の医者
本編には2人の医者が登場する。
(もちろん他にも軍医など存在するが、キャラクター設定されているのはこの2人)
リザルダ
の母親、ミラルダ・メルギーに関する研究を任されている
元リザルダの家庭教師(?)、エルギウスの軍医(本隊ケフェウス→後にアルファードへ転属)、
ナオミ・セルラード
(29歳)、女性。Dr. セルラード、またはDr. と呼ばれる。
もう1人は、北部ヘルモードにある町、テアナウの元町医者、
クリフの赴任と同時期にヘルモード隊の軍医に就く
キース・ハミルトン
(34歳)、男性。
共にヘルモード出身、同じ医大の先輩と後輩。
ナオミは飛び級のため、キースと2学年差。
キースは、純粋に人の命を救うために尽くす“医者”タイプ。
一方ナオミは、ダルゼラでの医学そのものの確立を目指したい“研究者”タイプである。
* * *
これまでに述べたダルゼラ期の医学についてナオミが本編で語るのは、
新基地アルファードへの転属に際して、
司令官
セルビネア
に伝えておくべき件を話すシーンにて。
ナオミ
:人類がこの星に来てしまって、、
今の医学が追いついていない証拠ね、、その代償・・・
その障害は、外見上、また一般的な日常生活上特に問題のない程度のため、
他人には明かされないケースがほとんど。(
北の大将
は比較的重度といえる)
セルビネアには、軍医としてナオミが
アルファード隊の主力3名(
*
)の身体状況について説明する。
*
リック・アレン
(副隊長)、ワーナー・ドナウ、ニール・ラパスのこと。
「設定集」にて各自記述される(予定)。
クリフ
については、この時は具体的には明かされない。
ナオミ
:あの子も・・・ (目を閉じる)
セルビネア
:…知っています…
ナオミ
:!? (ハッと彼女の方を見る)
セルビネア
:ずっと一緒にいたから…、何となく…
ナオミ
:…そう…
セルビネア
:自分から言ってくれるまでは
気づいてないフリしてます (微笑)
ナオミ
:…ありがとう・・・
(ナオミとクリフの関係については「
エピソード抄録『里帰り』
」参照)
* * *
キースは、できる限り自然に任せたい、という考え方。
ナオミは、現在の人体を改造してでも地球人たる姿を
残したいと考えている。
具体的には、地球より重力の小さいダルゼラでは
人間の筋力が衰え痩せ細っていく。
(そのため、移民当初は定期的な体力トレーニングを義務
化しようとしたが、一般人の間には到底浸透しなかった)
ならば、筋肉増強処置を(物理的に)行うなり、
遺伝子操作により体型を維持するよう手を加えるべきだ、
というのがナオミの意見。
ただ、前項の出産問題については、
女性としてのナオミは、
デリケートな問題であるからという以前に、
キースとは議論をしたくなかった。
彼女は少なからず、
キースを意識していたのは事実だろう。
が、彼には既に婚約者もいて、
キースがナオミをどう思っていたかは
周りの者にも分からないままであった。
ナオミの知識・技量は、
ケフェウス(後のエルギウス軍上層部)が
彼女を招き入れるに足るもので、
その研究内容をキースには伝えないまま
彼女は故郷ヘルモードを離れる。
▲キース・ハミルトン
キースは、テアナウで開業医として根を下ろしていたが、
訳あって離婚(「
テーマ別BBS
」参照)、
その後、同郷の知人ロバート・エアー(
同 参照
)を通じて
クリフからの誘いに当初は迷いながらも、
「馬鹿げた戦闘のために傷ついた人たちを助けるため」と、
クリフの赴任時より彼の部隊に籍を置く。
2人が会ったり、モニター越しに会話したり、という場面は本編中一切ない。
ただ、同じ軍のネットワークを利用するもの同士、メアドくらいは知っているだろう。
・・・「
里帰り
」でナオミが連絡を受けた相手は恐らくキース。
仲が悪いわけではないらしい。
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