SEVENTH
-The Destination-
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≪生 と 死≫
[家宝の石]
そもそも、メルギー家に代々伝わる例の「家宝の石」とは何なのか?
かつて、人類移民計画の先鋒、ダルゼラ博士を中心とする調査隊が
初めてこの惑星に降り立った時、遺跡の中に発見されたものである。
大きな宝石のような輝きを持つ石、しかし、
地球上のどの物質とも構成素の異なる解析不明の"物体"であった。
我々人類がこの「石」に触れた時から、
悪夢は始まっていたのかもしれない...
[メルギー家の元へ]
移民以前より政治・経済界に大きな力を見せていたメルギー家の者が、
その石を"預かる"ことを条件に、
莫大な費用を要する第2期・3期の調査隊に出資した。
関係者から見れば、ただの"珍しいもの"のコレクターにしか思えなかった。
歴史的・文化的価値を調べようにも、我々地球人には手のつけようのない物体。
しかし、その石から発する微弱な音波が計測できた時、
人々はある「言葉」を聞いた...
[古の言葉]
「LA-NI-TA-RE-A」
敢えて発音をアルファベット表記に置き換え
報告されたのが、この文字列であった。
語彙、語幹、全て不明。
ただ、かつてこの星に存在したであろう
知的文明の痕跡の1つには違いない...
[命名]
この「音」を、ダルゼラ防衛軍の名称に据えた。
防衛軍とは、本来
人類以外の"外敵"から人類・母星の生命を守るために
結成されたものである(「過去掲載記事」参照)。
かつて、この星にて栄えたであろう文明を奉り、
この星自らを守護する意味と願いを込めた命名であった。
[今...]
確かに、その遺跡の石は、この星のその後を見守っていたのかもしれない。
その言葉(音)は、この星の行く末を静かに護るための文言だったのかもしれない。
しかし、冷静に、この星の現実を見てみなくてはならない。
何故、今、それが"遺跡"なのか。
何故、今、そこに文明が"存在しない"のか...
[接触]
さとるとラニータ・リィアの出会いは「第3部」。
場所は、遺跡の近く。
1人の少女が倒れていた。
偵察に近辺まで来ていたエムリスのメンバーが発見する。
何故こんな所に、という疑問よりも、
人助けのために仲間たちが動く。・・・任務そっちのけ(^_^;)
[ラーザ]
エムリス基地に保護された少女は、口が利けなかった。
身振り手振り、または、相手の手のひらに文字をかいて意志を伝える。
名前はラーザ。
彼女はそう伝えた。
そして、それ以上のことは、何も覚えていないという。
[話]
彼女の希望により、さとるが彼女を、2人が出会った場所に連れて行ってやる。
「記憶を取り戻す手掛かりがあるかもしれないから」
その理由はウソであった。
彼女は、さとるに話があった。
そしてそれは、遺跡の前でなければならなかった。
[遺跡]
ラーザが、ただ静かに立って、遺跡を見つめる。
さとるが、後方、少し離れたところに立ち、彼女の背中越しに遺跡を見る。
『この人…、泣いているんだ……』
ラーザの背を見て、そう思う。
肩が震えているわけではない、実際、涙を零しているわけでもない。
ただ、静かに立つ彼女から、言葉では表せないような、大きな悲しみを感じた。
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[高貴な威圧感]
彼女が、"過去"との対面から次の行動への決意を意識した時、
さとるには、彼女を包む空気が変わったように感じられた。
何か大きな、かつ高貴な威圧感を肌に受けた。
この人が何者なのか、何となく分かったような気がした...
[心の声]
『この人は…?』
さとるは、童顔で年下に見える彼女を"キミ"と呼ぶのをやめ、
「あなたは…、"ここ"に住んでいたんですか…?」
彼女は、体の向きを変えず、心の声で直接答える。
『…はい...』
[言葉]
"ここ"・・・つまり、前文明の遺跡である。
「…そのことを…オレに…?」
『言葉…』 少し顔を上げたよう。
「え?」
『…何千年、何万年ぶりに発した言葉が、
私と、私が"ここ"に残したもののことを
正しく伝えられると良いのですが...』
彼女は、ゆっくりと振り向く。
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[器]
「!!」
『私の言葉が届くということは…、この事実を知った時、
事の意味を理解し、それを受け入れるだけの器を持った者であると…、
私は、あなたを信じます...』
「…言葉…? …そんな、オレは…」
『いいえ、…あなたは既に、お気づきですね…?
私を理解しようと、心を働かせてくださった…』
[ラニータ・リィア]
「……」
彼女と、彼女の背後の遺跡を見比べる。
『だから、言葉が届くのですね…!』
「あ…」
2人、互いの顔を見てしばらく無言で立っている。
2人の間を、風が何度か吹き抜ける。
互いの存在と、この出会いという事実を認めるに充分な時間が経つ。
…人類史上最初の、異種文明人との接触の瞬間であった。
『はじめまして、私の名は、ラニータ・リィア...』
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